【徹底解説】英語の音読は効果がないのか?英語を理解する仕組みから説明!

巷には数多くの英語学習法があふれておりますが、どのような英語レベルの方に対しても有効な、本当に効果のある学習方法はとても少ないように感じます。

 

この記事にたどりついた方は、音読の効果に疑問を感じている方かもしれません。でも英語の理解する仕組みから考えると、とっても効果的であることが分かると思います。

 

筆者ナナセ(TOEIC900・大手外資系企業プログラマー)は、「音読」が総合的な英語力の向上に最も効果的であると思っています。

 

ただ、英語を棒読みするだけでは効果がありません。頭の中で色々意識しながら音読する事で、英語力向上に最大限の効果を発揮します。

 

この記事では、

・何故英語の音読が効果的なのか?
・何を意識すれば効果的なのか?

これらを説明してみようと思います。

なぜ音読は、最も効果的な英語学習法と言えるのか?

英語を理解する仕組みをとっても簡単に説明すると、例えば次のような感じになります。こんな事が脳内で瞬間的に行われています。

1. 英語の文章を見る・聞く
  例) I like baseball? ⇒ 『英語だ!!』と判断される
2. 見聞きした文章の英単語が何かを判断する
  例) 『I』『like』『baseball』⇒こんな単語が使われていると判断される
3. 英単語を日本語の単語に変換
  例) 『I』⇒『私は』,『like』⇒『好き』,『baseball』⇒『野球』と変換
4. 単語(日本語)のイメージ(意味)を得る
  例) 『私は』『好き』『野球』⇒『それぞれの単語のイメージが浮かぶ』
5. 英文法に従い単語の意味をつなぎ合わせる
  例)『私』 『野球』←入れ替え→『好き』
6. 英文全体のイメージ(意味)を得る
  例) 『私は野球が好き』

ざっくりとですが、頭の中では、こんな感じで英語を理解していきます。大体6ステップ位にわけて、英語の文章を理解するような形ですね。

 

ただ、慣れれば、文章をある程度のまとまりごとに理解していきますし、文章によっては、4,5あたりの順番が入れ替わるかもしれません。ですので、あくまで一例として受け取って下さい。

 

それぞれのステップで、時間がちょっとずつかかっている訳ですが、音読する事によって、これら全部のステップにかかる時間を劇的に減らす事ができます。

 

それどころか、1⇒2⇒3⇒4⇒5⇒6と意識的に考えながらやっていたことが、音読を繰り返すことによって、1⇒6という状態になれるんです。なんと、2~5は無意識にできるようになり、かかる時間はほぼ0になります。

 

なんでそうなるかは、この後ひとつひとつ説明します。

 

では、上記の各ステップで、音読がどう関わっているのか、音読する時に何を意識すれば良いかを説明します。各ステップで、どのように音読が効果を発揮するか、いかに音読が重要か・素晴らしいかがきっとわかることでしょう!

1. 英語の文章を見る・聞く

これは、英語の学習をしていれば見聞きしている言語が英語かどうか、無意識のうちに判断できると思いますので、特にこの部分に関していう事はありません。

2.見聞きした文章の英単語が何かを判断する


見聞きした文章の英単語が、脳内の長期記憶領域に存在するかを調べます。脳の性質上、何回も聞いたり、話したりしている英単語であれば、長期記憶として定着しているのですぐ分かるでしょう。

 

ただし、何回も聞いたり話したりしている英単語なのに特定できないケースもあります。特に英単語単品でしか発音を記憶していない場合に多いです。

 

どういう事かというと、英語で文章を話すときは、英単語同士がつながって発音される事が多いのです。

 

例えば『I got up early(私は早起きした)』という短い文章ですが『アイ、ゴット、アップ、アーリー』とは普通発音されません。

 

『アイガラップァーリー』という感じの発音が自然だと思います。

 

この文章では、『got』が『ゴット』ではなく、『got』と『up』がくっついて『ガラップ』と読まれる事が多いです。この事を知識として知っていないと『ガラップ』を『got up』と理解できないでしょう。

 

これは非常に簡単なケースで、もっと難しいケースが大量にあります。

 

英語は、英単語同士のつながりによって発音が変化するので、英単語単品だけでの記憶ではなく、文章の中でどのように発音が変化するのかも覚える必要があります。

 

この発音の変化がわからないと、リスニング力がなかなか向上しません。

 

では、どうすればよいか?

 

ネイティブスピーカーの音声を使った音読教材を何回も聞いて音読するだけで、発音の変化も同時に覚えていくことになります。

 

大事なのは、カラオケのごとく、音声を真似して音読していく事!そうする事で英語らしい発音や英語独特のリズムを身体で覚えていくことができます。

 

自分が発音できるものはリスニングでも理解しやすいので、リスニング力の向上にもなります。

 

英単語の組み合わせはほぼ無限にあるから、それを全部覚えるなんて無理!なんて思う方もいるでしょう。ですが、発音の変化にはある種の法則があります。

 

音読教材の音声を何回も聞いて、何回も実際に発音(音読)することを続けていき、ある程度まとまった量の音読をこなすと、発音の変化の法則が無意識のうちに分かってくるようになります。人間の脳のチカラというのはスゴイものです!

 

そして、文章の中で、どのような英単語の組み合わせが来ようとも、その組み合わせの発音を理解し、容易に目的の英単語の情報を検索してアクセスできるようになります。

 

このように、音読は、英語らしい発音を鍛える数少ない学習法のひとつであり、かつ、リスニング力を向上させる優れた学習法でもあります。

3.英単語を日本語の単語に変換


話された英文の中で、どの英単語を使っているかを認識できたら、あとはその意味をとれれば良いわけです。

 

とはいえ、ひとつの英単語につき、複数の意味があるものも多いです。また、英単語とその意味をただ暗記した程度では、文章の中でその単語が実際にどう使われるかが理解しにくく、うまく活用できないかもしれません。

 

つまり、実用的で生きた英単語の知識は文章の中でしか身に付ける事ができません。

 

例えば、以下の文章ではどちらも『left』という単語を使っていますが後ろにくっつく単語によって意味が全く変わってしまいます。

I left the office at 6PM. (私は6時に会社を出ました)

I left my umbrella at the office. (私は会社に傘を置き忘れました)

この文章だと、left』の後ろの単語の意味をまず最初に理解しないと『left』の日本語の意味が確定されません。英語初心者だと、英単語毎に意味を把握しようとする傾向があるので、戻り読みになってしまいとても面倒でしょう。

 

ただ、慣れてくると、ある程度まとまった英単語を一度に理解するようになっていくので、この面倒さは少しずつですが解消されていくのです。

 

このように、前後の文脈によって意味が変わったりする単語も多いので、文章の中で単語を覚えていく事で実用的な知識を身につけることができます。

 

また、そもそも『英単語と日本語訳』だけを暗記するよりも、文章の中で使われた英単語の方がストーリー(6時に会社を出た、傘を置き忘れたというストーリー)があって理解しやすいですし、忘れにくいです。

 

脳の仕組み・性質上、意識的に情報(ストーリー)と情報(英単語)を結びつけるような覚え方をすると忘れにくくなるのです。結びつける情報が多くなるほど忘れにくくなるのです。

 

今お話した「ストーリー」と「英単語」を結びつける方法は音読が適しています。

 

その文章の音読教材の音声を聞き、文章を目で見て、文章の意味(ストーリー)を意識しながら音読する事で、「ストーリー」「英単語」「文字」「発音」というさらに多くの情報が結びつき、さらに忘れにくくなるのです。

 

そして、音読を続けていくと、最初は1単語ずつ理解しようとしていたのが、徐々に2語、3語とまとまった単語を一度に理解できるようになってくるのです。

 

このように、音読を繰り返した文章、英単語は忘れにくく、しかも、複数の単語を一度に理解できるようになっていきますので、理解の速度を速くすることができます。

4. 単語(日本語)のイメージ(意味)を得る


英語学習初心者が、英単語を理解する一般的な流れは、
『英単語を聞く』⇒『英単語を日本語の単語に変換する』⇒『日本語の単語からイメージ(意味)を得る』
という感じでしょう。

 

具体例をあげますと、例えば、
"nod"という英単語を聞く』⇒『"うなずく"という日本語を思い出す』⇒『人が頭をコクリと動かしているイメージが浮かぶ』
という具合です。

 

英語初心者であれば、これはこれで仕方ないと思うのですが、ずっとこの方法で意味を理解していると、英会話初中級レベルの壁を突き破ることができないかもしれません。

 

何故なら、途中で『うなずく』という日本語に変換する作業が入るので、意味を理解する時間が余計にかかってしまうからですね。

 

では、どうすればよいか?

 

要は、
"nod"という英単語を聞く』⇒『人が頭をコクリと動かしているイメージが浮かぶ』
となれば良いわけです。

 

すでにこの方法ができている英単語もいっぱいあるでしょう。

例えば『apple』『pen』『desk』『baby』などは、英語力のない一般的な日本人でも直接イメージ(意味)を得ることができるでしょう。これらは、和製英語として日常的に使っているからですよね。

 

じゃあ、これから新しく覚える英単語についてどうすれば良いかというと、

やはり音読ということになります。

 

何度も同じですみません(苦笑)。

 

音読教材の文章を、意味を理解しながら、その文章が表している状況をイメージしながら音読すれば良いです。

 

ただ、英語初心者がいきなり『英単語・英文』⇒『イメージ』というのは難しいと思います。

 

最初は英単語や文章の意味を日本語で理解しながらゆっくり音読で良いと思います。これだけでも、英語初心者には結構負荷のかかる大変な作業かもしれません。

 

ですので、同じ文章を何度も音読して慣れてきたら、文章の状況をイメージしながらゆっくり音読するようにすれば良いでしょう。

 

状況をイメージするのも、最初のうちは、英単語単位のイメージも意識しながら音読します。そして徐々に音読の速度を上げていく。というのが良いと思います。

 

このような音読を続けていくことで、英語の文章を読みながら、日本語を考えなくてもイメージが浮かぶ・意味がわかるようになっていきます。

 

つまりこれは、英語を英語のまま理解する、いわゆる英語脳』を育てる作業なのです。

5.英文法に従い単語の意味をつなぎ合わせる


これは、順番的に『5』と書いておりますが、一概にそうとも言えませんので、この事に触れておきます。英文法を意識するタイミングは、英単語が特定された以降であれば、どのタイミングでもありえます。つまり、順番でいえば、『3,4,5』のどれかでしょう。

 

さて、それでは本題です。
英単語の意味がわかれば、それだけで英文全体の意味が理解できるような簡単な文章もあります。

 

例えば、

I have a pen.(私はペンを持っています)

これは特に意識すべき文法要素もないので、ほとんどの日本人が理解できるでしょう。

 

ですが、使われている英単語や、英単語の置かれている順番によって、日本語に訳す際の様々なルール(文法要素)が存在します。英文全体の意味を把握するためには、このルールに従って、複数の英単語の意味を結びつける必要があります。

 

それでは、具体例として以下の文章はどうでしょうか?

Do you have a pen?(あなたはペンを持っていますか?)

この中には1つの文法要素、中学校1年生の初期段階で習う『疑問形』が入っています。『Doが文の先頭に来ると疑問文になる』というルールが分からなければ、そもそも文章の意味が理解できません。ですので、そのルールは学習しないといけません。

 

問題はそのルールを知っているだけではいけないということです。そのルールを瞬間的に活用できないと、文章を読むにせよ、英会話をするにせよ実用に耐えられません。

 

それでは、そのルール、つまり、文法知識を瞬間的に活用できるようになる方法はなにか?

 

何度もすみませんが、これも音読です。

 

何度も同じような事を説明して申し訳ありませんが、文法を意識しながら音読すれば良いです。

 

文頭にDoを見つけたら『何か質問があるんだな』とイメージしたり、自分が質問している状況をイメージしたりします。さらに、Doが文の先頭に来たら、動詞が原型になるので、それも意識しながら音読します。

 

脳の仕組み上、何回も同じことを繰り返し意識すると、それが意識しなくても理解できるようになります。ですので、このような音読を続けていくうちに、十分に実用的な、瞬間的に文章全体を理解する能力、リスニング能力がついていることでしょう。

 

ただし、音読する際は、最初はとても易しい文章から始めないと挫折のもとになりますので、注意が必要です。

 

例えば、次の文章をスムーズに理解できるでしょうか?

Did you have a pen to stick into the apple which Pikotaro had had?

この文章の中には、少なくとも5つの文法要素が入っています。これだけの文法要素が入っていると、英語初心者が瞬間的に理解するのは難しいでしょうし、そもそも理解できないかもしれません。
(※実際には、他にも細かい文法要素が何個か入っていますが、それらは初心者は気にしない方がよいです)

 

意味は「あなたは、ピコ太郎が持っていたりんごに突き刺すためのペンを持っていましたか?」という感じです。無理やり作った文章なのでなんか不自然ですが。

 

ちなみに、文章に入っていた5つの文法要素とは以下になります。

過去形
I had a pen. (私はペンを持っていました)
疑問文
Do you have a pen?(あなたはペンを持っていますか?)
不定詞
I have a pen to stick into an apple. (私はりんごに突き刺すためのペンを持っている)
関係代名詞 + 過去分詞形
I had the apple which Pikotaro had had. (私はピコ太郎が持っていたりんごを持っていた)

このように、ひとつの文章の中に、複数の文法要素が入ってくると、急に難しく感じると思います。学習初期段階で、このような文章ばかり音読していたら、負荷が高すぎますし、なにより挫折のもとになってしまいます。

 

英語力ゼロの状態から音読を始めるときは、ひとつの文章に、1つか、2つ程度の文法要素が入っている易しい音読教材(中学1年レベル)にするべきでしょう。

6. 英文全体のイメージ(意味)を得る

見聞きした英語の文章を聞き、その英文全体の意味を得るまでに、とても長い旅路を経てきた感じがしますね(笑)。

 

その旅路とは、
『発音から英単語を特定』⇒『英単語から日本語の単語に変換』⇒『日本語の単語からイメージ(意味)を得る』⇒『英文法(ルール)に従い、単語の意味をつなぎ合わせる』⇒『英文全体の意味を得る』
です。

 

これら全ての行程において、音読がとても効果的である事をお伝えさせていただきました。

 

つまり、英語の文章を読んだり、聞いたりした時の、
『英語を理解する時の脳内の処理ほぼ全てに対して、音読が効果を示す』
という事ですので、これほど、効果的な学習法は他になかなか見当たらないのではないでしょうか?

 

しかも音読は、英語学習初期段階のみならず、どのレベルの学習者にとっても効果的です。レベルによって違うのは音読教材の難しさだけです。

 

きっと長いお付き合いになる学習方法となるでしょう。

まとめ

音読は、僕自身が英語力ゼロから始めて英語脳を手に入れ、ペラペラレベルに達するまでずっとメインの学習法でしたし、多くの方が実践して、効果が高いとお墨付きの学習方法です。

 

音読の素晴らしい点を、一言で簡単に言ってしまうと、


『身体で覚え込むから、勝手に理解できるようになってしまう』

という感じですかね。

 

野球選手は、素振りを何千回、何万回と繰り返して、身体に理想的な打撃フォームを覚え込ませているのでしょう。

 

同様に、耳、目、口、脳(イメージ)という身体の感覚器官をフルに使いながら音読する事で、無意識のうちに、英語のエッセンスが身体に蓄積されていくのです。つまり、身体で覚えてしまうということです。

 

これは、本当に重要なことです。無意識のうちに確実に英語力が底上げされるのです。

 

また、英語とは関係ないですが、音読をすることにより、脳が活性化され、

・記憶力、集中力、行動力が上がった
・頭の回転が良くなった
・コミュニケーション能力が高まった
・寝起きが良くなった

という事も報告されており、良いことづくめなのです。

 

絶対に素晴らしい効果がありますので、これから英語学習を始めようと思っている方! 他の学習法から切り替えようと思っている方!

 

是非、音読を始めましょう!

 

具体的な音読学習の進め方については、下記のリンクで説明させていただきます。
⇒英語力ゼロからの音読トレーニングの進め方【準備編】

ただ、万能に思えるような音読でも、英語を話すスキルは伸びにくいです。
英語を話すスキルを伸ばすための方法としては下記のリンクで説明しております。
⇒瞬間英作文は意味がないとは言わせない!スピーキングに最も効果的な理由!
⇒英会話初心者が最短でカタコトになれる英作文トレーニング【準備編】
⇒瞬間英作文の効果的な進め方とは?このやり方でカタコト英語ならすぐ話せる!

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